『「愛国」問答―これは「ぷちナショナリズム」なのか』

「愛国」問答―これは「ぷちナショナリズム」なのか (中公新書ラクレ87)
香山リカ福田和也の対談本『愛国問答』を読んでみた。香山リカは『マガジン9条』の発起人になっていたり、けっこう昨今の右傾化を危惧しているみたいですね。福田和也は基本的には右なんだろうけど、そう単純な人ではない。この本は内容は少々薄いけど、考えるきっかけにはなると思う。

ブログなどを見ていると、ナイーブに国家を信奉している人が多いので驚く。一つには、長きに渡る不況で保守化しているというがあるのでしょうね。もう一つは、いままであった共同性が崩壊していて、つながりや誇りを国家に求めているように見える。ナショナリズムが高揚する時というのは共同性を回復しようとする時、あるいは外部から圧力がかかる時ですね。中国や韓国、北朝鮮から圧力がかかっている今がまさにそういう時だろう。

つながりや誇りを国家に求める気持ちも分かるけど、僕はもっと個人的なものに求めた方がいいと思う。それは自ずと国家を横断するだろう。国家主義的な思考がどれだけの排除を生み、自分自身の視野を狭め、自分自身の可能性を狭めているかということに、もう少し思いを馳せて欲しい。