プラットフォーム企業の公共性『ised@glocom』

umkaji2005-11-19

http://ised.glocom.jp/ised/10110821

東:
>しかし、そうなると、ネットワーク外部性のメリットを直接享受するのは創業者だけということになる(むろん、ユーザーも間接的には享受していて、だからコミュニティは成長するわけですが)。ところが、はてなアイデアで近藤さんが模索されようとしているのは、それをユーザーに還元するためのシステムだと思います。ネットワーク外部性の効果で成長したサービスがあるとき、その収益を創業者がガメるのではなくて、ユーザーに分配することはできないか。それが近藤さんが考えていることではないか。


 そしてこれは、情報社会の設計のうえできわめて大事なことではないか。さきほどの倫理研でも議論になったのですが、mixiがある有名なユーザーを強制退会させた事件があった。もちろん、強制退会は約款的に問題はない。mixiは私企業だからです。しかし、100万人規模のユーザーがいるとき、「いやこちらは私企業だから勝手に誰でもやめさせられるよ」というのは果たして許されるのか。そこでは、「ネットコミュニティを支える私企業の公共性」という、別の問題が生じる。近藤さんは、この「私企業が持つ公共性」に対して大変自覚的だと思います。というより、企業は公共的な存在であるべきだ、という思想がはてなの根底にあるんでしょうね。

民営化というと私たち市民のものになるというイメージを持ったりするが、民営化とは私営化ですね。公共的なものから個人のものになるということです。だから市場原理に任せる新自由主義は民主主義を破壊していくという議論になるのだと思う。

郵政「私営」化もそうだし、マスコミの陥ってる問題もそういうことだと思う。つまり本来公共的であるべきものが一部の私的な利益によって歪められていく。アメリカなんか端的にそうだと思うけど、新自由主義を推し進めていくと戦争すらも一部の私的な利益によって行われてしまう。

近藤さんの考えてることは一つのヒントになると思う。ここで言われている公共性というのは企業の社会貢献とかいうレベルの話ではなく、企業のシステム自体を変えていこうというものだと思う。こういう処から真に公共的で民主主義的なものが生まれることを期待します。


<関連リンク>
近藤淳也 講演『ised@glocom』