『戦争の世紀を超えて』森達也 姜尚中


戦争が起こる要因として危機管理意識(セキュリティ意識)による恐怖心や不安から憎悪が生まれ、同じ人間だという想像力が消失してしまう、と森達也は言っている。これは今の対テロ戦争にも当てはまるだろう。テロリストという害虫を駆除しないと自分たちがやられてしまう、という恐怖が人を戦争に駆り立てる。

もうひとつ共同体の同質性の問題がある。ナチスによるユダヤ人抹殺計画に端的にあらわれているが、自分たちと異質なものは排除せよという思想。日本も同調性圧力の強い社会で、対立を許さないような雰囲気がある。同質性が強い社会ほど、集団ヒステリーのようなことが起こりやすい。今のマスコミを見ていてもそう思う。マスコミは社会の映し鏡である。第二次大戦の一億総玉砕も同調性の強い社会が生み出したものではないだろうか。それを回避するには、対立を許容するような社会、人が個人として生きられるような社会を形作る必要があると思う。

もう一つ、子供に関して述べられていた。僕も経験があるけど、昆虫を殺したり子供というのは残酷です。それは無知だから。人が戦争で残虐になれるのは、いわば子供に帰るということではないか。子供のピュアさというのは無知な残虐性と表裏一体なのだろう。ブッシュ自身もそうだけど、ブッシュ政権を支える宗教的にピュアな人々にも言える。日本にも小泉や安倍のような子供のようにピュアで無知な政治家がいる。そのピュアさは残虐性と裏腹である。



戦争の世紀を超えて―その場所で語られるべき戦争の記憶がある


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